この記事では、花とは何か、その構造と機能について中学校レベルで簡単に解説していきます!
そもそも花って何?
みなさん花と聞いてどんなものを思い浮かべるでしょうか?
サクラ、タンポポ、ツツジ…
植物から出てくる赤や白や黄色の綺麗な構造、というイメージがあるのではないでしょうか。
しかし、実は葉っぱのようなものや、花びらがほとんどない(または全くない)ような、「花に見えない花」もあります。
このような花は、どういう所で「花」と判断できるのでしょうか。
それは「花としての機能を果たしているかどうか」という点です。
花の機能とは、「受粉して(またはさせて)種をつくること」。
植物の生殖器官としての役割を持ちます。
それでは、花はどのようにしてこの役割を果たしているのでしょうか。
花の構造
花には内側から順に、「めしべ、おしべ、花弁(花びら)、がく」という構造があります。
それぞれ「種をつくる」という役割を果たすための機能を持っています。
めしべとおしべ
めしべとおしべは花の中心にある糸のようなものです。
その機能は、花にとって1番重要な「受粉して種をつくる」というもの。
めしべはおしべより内側にあり、将来種になる胚珠というつくりを持っています。
一方おしべはめしべのまわりにある、花粉をもつ部分です。
おしべの花粉がめしべにつく「受粉」がおこると、めしべの胚珠が種へと成熟していきます。
花は基本的におしべとめしべの両方を持ちますが、おしべだけ持つ花とめしべだけ持つ花の二種類を咲かせる植物もあります。
例えば、きゅうりやゴーヤがこういう植物です。
おしべだけを持つ花を雄花(おばな)、めしべだけを持つ花を雌花(めばな)といいます。
めしべは将来果実になる!
めしべは花の中心に1本だけあることが多く、取り出してみると、奥側に少しふくらんだ構造を持ちます。
このふくらんだ部分の中に、胚珠という丸い構造がたくさん入っています。
また、胚珠が入っているふくらんだ部分を子房といいます。
受粉後に胚珠が種子へ成熟していくと同時に、子房も成熟して果実になります。
きゅうりなどの野菜やリンゴなどの果物の食べる部分ですね。
つまり、果実になる部分はめしべに含まれているのです。
そのため、きゅうりなどの雌花と雄花を持つ植物では、雌花にしか実がなりません。
受粉のしくみ
子房の中の胚珠が種子になるには、「受粉」が必要です。
この受粉が起こる部分が、めしべの1番先端部分にある柱頭です。
さわってみると少しネバネバしていて、花粉がくっつくようになっています。
受粉が起こると、花粉の中に含まれる物質が、柱頭と子房をつなぐ細長い花柱という部分の中を通って子房へと移動していきます。
この物質が胚珠と反応することで種子ができるのです。
おしべの構造
おしべの先端部分には袋のようなものがついています。
この袋を開けてみると、中には黄色い粉のようなものが入っています。
これが花粉です。
花粉が入っている袋のことをやくといいます。
花弁とがく
めしべとおしべを包むように色とりどりの綺麗な花びら(花弁)があります。
その外側、下の方に茎と繋がっている緑色の部分がありますよね。
ここも花の一部で、がくといいます。
これらの部分も、実は花の機能、「受粉して種子をつくる」ために重要な機能を果たしているのです。
花が綺麗なのは虫をひきつけるため
カラフルな花の色は実は、虫に見せるための色です。
昆虫にはその種類によって、ある特定の色のものに好んで近づいていく性質があります。
花は、ある昆虫が好きな色になることで、昆虫を引き寄せているのです。
では、どうして昆虫を引き寄せるのかと言うと、それはまさに花の目的、「受粉するため」です。
昆虫が花に引き付けられ、おしべとめしべの奥の方にある蜜を吸っていると、おしべの花粉が昆虫にくっつきます。
その昆虫は蜜を集めるために花粉をくっつけたまま他の花にも移動します。
すると、その花粉が他の花のめしべにつき、受粉がおこるのです。
このように、昆虫が花を訪れることで花粉が他の花のめしべに運ばれるようになります。
特に雄花と雌花に分かれている花にとっては、昆虫の役割がとても重要です。
がくは花を守っている
がくは花の1番外側で、花を支える縁の下の力持ちです。
花が受粉して役目を終えるまで、花弁やおしべなどの内側の構造をしっかり支えます。
また、花が咲く前は、蕾の1番外側で他の構造を包み込んで守っています。
裸子植物とは
花の機能は受粉して種子を作ること。
この役割を果たしている「花」と呼べる器官が、綺麗な花弁などを持たず、いわゆる「花」のように見えない植物もあります。
裸子植物と被子植物
「花」と言うときに多くの人が思い浮かべる、花弁などをもつ花を咲かせる植物のことを「被子植物」と言います。*1
被子植物では、種子のもとになる胚珠が子房で包まれているのが特徴です。
それに対し、胚珠が子房に包まれず、剥き出しになっている植物を「裸子植物」といいます。
裸子植物の花は胚珠が剥き出しになっている他、花弁やがくなどを持ちません。
そのため、パッと見て「花」のようには見えないかもしれません。
また、おしべとめしべなどもなく、花粉をもつ雄花と、胚珠をもつ雌花に分かれています。
*1:被子植物でも花弁をもたない花を咲かせる植物もあります。
花粉の運び方
被子植物では、カラフルな花弁で虫を惹きつけ、その虫に花粉をつけることで他の花まで花粉を運ばせることができます。
しかし、花弁をもたない裸子植物の場合、このように虫に花粉を運ばせることはできません。
そこで、裸子植物が花粉を運ぶために利用しているものが風です。
裸子植物は小さく軽い花粉を作って風で飛ばすことで、遠くの花まで花粉を届けます。
ちなみに、花粉症を引き起こす杉や松などは裸子植物。
花粉があちこちに飛んでいるのにはこんな理由があったのです。
雌花の構造
雌花は、りん片という鱗のようなものが、球果と呼ばれる球体の部分に沢山くっついた構造をしています。
松で言うと松ぼっくりの部分です。
このりん片一つ一つに、胚珠が直接くっついています。
この胚珠は子房のような構造に包まれることなく、むき出しになっています。
風で運ばれた花粉が、このむき出しになった胚珠について受粉するのです。
雄花の構造
雄花も、雌花と同じく球果にりん片がたくさんくっついた構造をしています。
ただし、雄花の場合はりん片にくっついているのは胚珠ではなく、花粉のうという袋です。
この中に花粉が入っていて、時期が来ると花粉を風に乗せて飛ばします。
ポイントまとめ
- 花とは受粉して種をつくる植物の生殖器官である
- 胚珠が子房に包まれている花を咲かせる植物を被子植物、胚珠がむき出しの花を咲かせる植物を裸子植物という
- 被子植物の花はめしべ、おしべ、花弁、がくがあり、めしべは胚珠、おしべは花粉をもつ
- 花粉がめしべの柱頭につくことを受粉という
- おしべの先端のやくという袋に花粉が入っている
- 裸子植物の花には雌花と雄花の二種類がある
- 裸子植物の花はりん片がたくさん集まってできている
- 雌花のりん片には胚珠、雄花のりん片には花粉のうがついている
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