植物はどうして背を伸ばす?体を支える根と茎の構造と機能

中学

陸上の植物は、養分を作るために光合成をしています。

この養分は「子孫を残す」という最終目標のために必要なものです。

それでは、光合成をする葉や、子孫をつくる花をたくさん作ればそれで良いのでしょうか。

それなら、なぜ植物はわざわざ茎を伸ばし、硬い地面に根を張っているのでしょうか。

実は、根や茎をつくることも、この目標を達成するために重要な役割を果たしているのです。

この記事では、植物の根・茎の構造と機能について、中学校レベルで簡単に解説していきます!

光合成についてはこちらの記事を参考にしてください!↓

根と茎は光合成を助けている

「子孫を残す」という目標のためには、光合成するための葉と、子孫を残すための花だけがあれば良く、使える栄養を全てこの二つのために注げば良いような気がするかもしれません。

しかし、根や茎もしっかりこの目標のために役立っています

まずわかりやすいのは根の機能でしょう。

根は土の中の水や養分を吸収する

光合成の記事で、光合成には水が必要ということを解説しました。さらに、この水は蒸散という現象によって葉からどんどん失われてしまいます。

こうしてなくなっていく水を補充するために、土の中の水分を吸収しているのが根です

また、植物の組織をつくるために必要な養分は光合成で作られるデンプンだけではありません。金属などの無機物も、植物の成長には不可欠です。

これはデンプンのように自力で作ることはできないので、外部から吸収する必要があります。根は土の中に存在する水に溶けた無機物の吸収も行なって、植物の成長を支えているのです。

根は植物の体を守っている

庭の雑草を抜く時など、長い根が地面に強く張っていてなかなか抜けないことも多いですよね。根は植物の体を地面にしっかり固定するという役割も担っています。

このおかげで、強い雨や風にさらされても、地面から剥がれてしまうことなく耐えられるのです。特に風の強い高山や、増水時に川の水にさらされる川辺の植物などは、根が強く張っているものが多く見られます。

茎を高く伸ばすことで日光を獲得する

次に、茎の機能を見ていきましょう。

そもそも、植物はなぜ限りある栄養を使って茎を伸ばすのでしょうか。それは、より日光を浴びやすい環境に葉をつけるためです。

多くの植物はより高く茎を伸ばしていきますが、もしも茎を高く伸ばせなければ、自分より高く生長した周りの植物の影になり、十分な日光を浴びられなくなります

実際、植物が密集する地帯では、生長が遅れた植物は栄養不足で枯れ、淘汰されてしまいます。

茎を伸ばしてより高いところに葉をつけられるようにすることは、十分な光合成をするためにとても重要なのです。

根のつくり

それでは、根の構造を詳しくみてみましょう。根の先端部分をよく見てみると、ふわふわとした細い毛のような構造が見られます。

これを、根毛といいます。

根毛は根が土の中から効率よく水分を吸収するのに役立っています。根毛のような細い毛をたくさん生やすことで、表面積を広げているのです。

水分を吸収するためには、根の表面部分が、土の中の水に接している必要があります。つまり、根の表面積が大きいほど、土の中の水に接する部分も増え、より多くの水分を吸収できるようになります。

茎のつくり

茎は光合成をする葉をより日光の当たりやすいところにつけるために生長し、高く生長した後は、風や雨に負けない丈夫さで植物の体をしっかり支えます。

それと同時に、茎は根と葉や花などの他の器官をつなぐ間の部分でもあります。

つまり、根で吸収した水分を光合成のために葉に運んだり、葉でつくった養分を他の必要な部分に運んだりするためには、茎を通すことになるのです。

そのため、葉には水分や養分を運ぶためのつくりがあります。

水と養分を通す管

この水分と養分を運ぶためのつくりを、維管束といいます。維管束は根から葉まで茎の中を繋がっていて、葉に入ると葉脈として表面から見えるようになります。

ここで、「維管束」という言葉に注目してみましょう。

その名の通り、維管束とは繊維と管の束です。維管束は水分と養分を通す1本の管なのではなく、それが束になったものなのです。

維管束を構成する管には、二種類あります。

一つは、根で吸収した水や、水に溶けた無機物などを運ぶ道管。もう一つは、葉でつくったデンプンを運ぶ師管です。

維管束は、道管と師管がそれぞれ束になったものが集まってできています。

茎と根の観察から植物を見分ける

前回、葉の表面の葉脈の形から植物の種類を見分けられるという話をしました。

実は、根や茎の観察からも、植物を見分けることができます。

葉脈による分類はこちらの記事で!↓

根の形二種類

根の形には次の二種類があります。

  1. 根本から太い根が1本出て、そこから細い根が分岐しているタイプ
  2. 根本から何本もの長い根が出ているタイプ

1のタイプでは、元の太い根のことを主根、そこから分岐した細い根のことを側根といいます

また、2のようなタイプの根のことを、ひげ根といいます

茎の断面の維管束二種類

次に、茎の断面の維管束の見え方を見ていきましょう。こちらにも2つのタイプがあります。

  1. 維管束が茎の断面に沿って輪の形に整列しているタイプ
  2. 維管束が茎の断面にばらばらに見えるタイプ

ちなみにどちらのタイプにもそれぞれの維管束で道管は茎の内側に、師管は茎の外側に集まっています。これは簡単に確認する方法があります。

花瓶の水に絵の具などで色をつけてしばらくその水をやれば、茎を切ったときに道管側だけが染まっているはずです。

葉脈の形とも関係あり

これまで見てきたように、植物は葉脈の形、根の形、維管束の並び方で分類できます

そして実はこの3つの特徴には関係があるのです。

網状脈の植物、アジサイやアサガオなどを集めてきて、根の形を観察すると、全て主根と側根タイプ、維管束の並び方を観察すると、すべて輪の形に並んだタイプになっています。

逆にトウモロコシやユリのような平行脈の植物はすべてひげ根、維管束がばらばらのタイプです。

つまり、植物は次の二つのタイプに分類できます。

2種類の植物
  1. 網状脈、主根と側根、輪の形に並んだ維管束をもつもの
  2. 平行脈、ひげ根、ばらばらの維管束をもつもの

①のタイプを双子葉類、②のタイプを単子葉類といいます。

子葉、とは種などから出芽して最初に出てくる葉っぱのこと。実はこの二つのタイプの植物は、芽が出た瞬間に判別できるんですね。

その名の通り、双子葉類は子葉が2枚出るタイプ、単子葉類は子葉が1枚出るタイプです。

まとめ

  • 根は土の中の水や水に溶けた養分を吸収し、植物の体を地面に固定する。
  • 根の先端には、水分を効率よく吸収できる、根毛というつくりがある。
  • 茎は光合成をする葉になるべく多くの日光が当たるように高く生長し、その体を支える。
  • 茎には根で吸収した水分や、水に溶けた無機物を葉などに運ぶ道管と、葉で作られたデンプンを他の場所に運ぶ師管がある。
  • 道管と師管が集まってできた束を維管束という。道管は維管束の内側に、師管は外側に集まっている。
  • 植物は次の2種類に分類できる。
    1. 双子葉類:網状脈、主根と側根、輪の形に並んだ維管束、2枚の子葉をもつ
      • アジサイ、アサガオなど
    2. 単子葉類:平行脈、ひげ根、ばらばらの維管束、1枚の子葉をもつ
      • トウモロコシ、ユリなど
  • 主根は根本から出ている1本の太い根、側根は主根から伸びている細い根である。
  • 根本から複数本の根が長く伸びているタイプの根をひげ根という。

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