動物はどうやって呼吸する?肺の膨らみ方と構造・エラ呼吸について簡単に解説!

中学

みなさんは何分間息を止めていられますか?

おそらく1分くらいが限界、という人が多いのではないでしょうか。

人間を含む動物は呼吸によって酸素を取り込まないと生きていけません。

この「呼吸」という重要な機能を果たすのが肺などの呼吸器官です。

今回は、生物がどうやって酸素を取り込んでいるのかを解説します。

呼吸のときの運動

大きく深呼吸すると、胸やお腹が膨らんだりへこんだりします。

これは、肺が膨らんだりしぼんだりして空気を出し入れするために、胸やお腹の筋肉が動くからです。

実は肺には筋肉がないので、肺自体を意図的に膨らませたり萎ませたりすることはできません。

代わりに肺の周りの胸やお腹の筋肉が動くことで、肺を動かしているのです。

息を吸う時

息を吸ったままの状態で止めていると、お腹のあたりに力が入っている感じがすると思います。

そしてだんだん疲れてきますよね。

これは息を吸うときには、胸やお腹の筋肉が縮んだ状態になっているからです。

息を吸う時の筋肉の動き
  • 胸の筋肉の動き:筋肉が縮んで肋骨を引き上げる
  • 横隔膜(お腹の筋肉)の動き:横隔膜が縮んで下に下がる。

これらの筋肉の動きの結果、肺が膨らみ、空気が入ってきます。

息を吐く時

息を吐く時は、吸う時とは逆に脱力した状態になります。

息を吐く時の筋肉の動き
  • 胸の筋肉の動き:筋肉がゆるんで肋骨がもとの位置に戻る。
  • 横隔膜(お腹の筋肉)の動き:横隔膜が緩んでもとの位置に戻る(上に上がる)。

この結果、肺ももとの大きさにしぼみ、息が吐き出されます。

吸い込んだ空気の行方

それでは、鼻や口から吸い込んだ空気はその後どうなるのでしょうか。

吸い込んだ空気は、気管という管を通って肺に移動します。

ということは、気管は鼻・口と肺の間を繋いでいるわけですが…みなさんご存知の通り、肺は2つありますよね。

そのため、気管も途中で2つに枝分かれして、左右それぞれの肺と繋がります。

この枝分かれ部分のことを気管支といいます。

それぞれの肺に繋がった気管は、肺の中でさらに細かく枝分かれしていきます。

肺の構造

次に、肺の中の構造をさらに詳しく見ていきましょう。

肺の中に入った気管は、細かく枝分かれした後、最終的に薄い膜でできた袋状の構造が多数集まっている先端部分に辿り着きます。

この袋状の構造を肺胞といいます。

肺の複雑な構造の理由

ただ単に肺に空気を送り込むだけなら、肺の中での気管の枝分かれや肺胞の構造は必要がないように思えます。

この複雑な構造の大きなメリットは、「表面積が大きくなる」ことだと考えられています。

空気の中に含まれる酸素は、肺胞の表面で血液の中に取り込まれます。

また、細胞の呼吸でできた二酸化炭素も肺胞の表面で血液から肺に出てきます。

そのため、表面積が大きくなるほど肺と血液の間で酸素や二酸化炭素の交換が効率よく行えるようになるのです。

成人の場合、左右の肺で約3億個の肺胞があり、その表面積はテニスコートほどの大きさがあると言われています。

人の体の中に収まっているものなのに、そんなに広い面積を持つなんて、驚きですね。

色々な動物の呼吸器官

私たち人間は、基本的に地上でしか息ができません。

水に潜っている間は呼吸できないので、基本的に息が続く間しか水中にはいられませんよね。

しかし、魚は平気な顔をしてずっと水中で生活しています。

逆に魚は地上に出したままにしておくと死んでしまいますよね。

この違いは、実は呼吸器官の違いによるものです。

私たち人間や犬、鳥、ヘビなど、主に地上で生活する動物は、これまで見てきた通り、呼吸器官として肺を使って呼吸しています。

それでは、水中で生活する魚などは、どのような呼吸器官をもつのでしょうか。

魚の呼吸器官

魚の呼吸器官はズバリ、「エラ」です。

エラ呼吸」という単語はほとんどの人が知っているのではないでしょうか。

魚は、このエラに周囲の水を通過させ、その際に水に溶けた酸素をエラの中にある毛細血管に取り込みます

マグロなどは「泳ぎ続けないと死ぬ」などという話を聞いたことのある方も多いと思いますが、これはマグロなどの一部の魚が泳がないとエラに水を通過させることができないからです。泳ぐのをやめると呼吸ができなくなってしまいます。

また、二酸化炭素もエラの毛細血管から水の中に溶かして排出します。

このように、エラ呼吸は周囲に水があること前提の呼吸法なので、水のない地上では呼吸できなくなってしまうのです。

逆に、地上の動物のもつ肺は、水の中の酸素を取り込むような仕組みをもっていないので、水中では呼吸できません。むしろ水が気管に入ってしまうと、それが邪魔になってしまうのです。

カエルの呼吸器官

ここで、少し例外的なのがカエルです。

カエルは小さい頃は水の中にすむオタマジャクシ、大人になると陸上にすむ「カエル」になりますよね。

実は、カエルは子供の頃と大人になった後で、呼吸器官が変わります。

子供の頃は水中用の呼吸器官、「エラ」を使い、大人になるとエラが消えて代わりに陸上用の呼吸器官、「肺」ができるのです。

ちなみにカエルは肺以外に、全身の皮膚から血液中に酸素を取り込む「皮膚呼吸」も行っています。

このように、成長とともにエラ→肺と呼吸器官を変えることで水中→陸上と生活場所を変える動物は、カエルが1番有名ですが、他にもイモリ、サンショウウオなど様々な種類のものがいます。

呼吸器官が生活の場所にも大きく関わっていることがよくわかる例ですね。

まとめ

  • 息を吸う時は横隔膜が縮んで下り、胸の筋肉で肋骨が上がることで肺が膨らむ。
  • 息を吐く時は横隔膜が緩んで上がり、肋骨が下がることで肺が縮む。
  • 鼻と口は気管によって肺と繋がり、ここを空気が通る。気管の枝分かれ部分を気管支という。
  • 肺の中で気管は細かく枝分かれし、末端に肺胞という袋状の構造がつく。これによって肺の表面積が大きくなり、酸素や二酸化炭素の交換効率が良くなる。
  • 魚やオタマジャクシなど、水中で呼吸する動物は肺のかわりにエラをもち、エラ呼吸を行う。

コメント

タイトルとURLをコピーしました