血って何をしているの?血液の役割と血管・リンパ管による循環の仕組み

中学

「血がなくなると死んでしまう」という話をみなさん一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

大人では4~5Lもの血液が流れていますが、このうち1Lの血液を失ってしまうと死んでしまうことがあります。

それでは、なぜ血液がなくなると死んでしまうのでしょうか。

今回は、血液が体の中でどのような役割を果たしているのか、そして全身に血液を運ぶ役割を果たす血管や、リンパ管について解説していきます。

血液の主成分

血液は、液体と固体が混ざってできています。固体の成分はとても小さいので、私たちの目には見えず、ただの液体のように見えているんですね。

その証拠に、血液を特殊な装置にかけると、液体の部分と固体の部分を分離することができます。この、固体を取り除いた液体部分を血しょうと言います。

血液の固体成分

では、血液中に含まれている固体にはどのようなものがあるのでしょうか。それには主に次の3種類があります。

  • 赤血球
  • 白血球
  • 血小板

赤血球はその名の通り、血液中の赤色の成分です。血が赤いのは赤血球が含まれているからというわけです。

白血球は、体の中に侵入した細菌などを退治する役割血小板血管が傷ついた時にその傷を塞いで出血を止める役割をもちます。

赤血球の役割

血液の中でも、特に生きるために超基本的な役割を果たしているのが赤血球です。

赤血球の中には、ヘモグロビンという赤色の成分が含まれています。実は、赤血球の赤色はヘモグロビンの色です。

ヘモグロビンは、「酸素の多いところでは酸素とくっつき、少ないところでは酸素を手放す」という性質をもちます。この性質のおかげで肺に取り入れた酸素を全身の細胞に運ぶことができるのです。

吸った酸素を全身の細胞に運ぶ仕組み
  1. 新しい空気を取り入れる肺には、酸素が多い。
  2. 酸素が多いので、肺では赤血球のヘモグロビンが酸素と結びつく。
  3. 酸素をもった赤血球を含む血液は、肺から全身の細胞へ運ばれる。
  4. 細胞は、細胞呼吸で酸素を消費するので、細胞の近くは酸素が少ない。
  5. 酸素が少ないので、細胞の近くでは赤血球のヘモグロビンが酸素を手放す。

細胞は、細胞呼吸で酸素を消費して、生きるためのエネルギーを作り出しています。血液がなくなると、酸素が肺から細胞まで運ばれなくなってしまうため、細胞は酸素不足でエネルギーが作れなくなり、死んでしまうのです。

細胞呼吸についてはこちらの記事で解説しています!↓

血しょうの役割

実は、血しょうも細胞呼吸を助けるはたらきをしています。

細胞呼吸では、エネルギーとともに二酸化炭素が発生します。二酸化炭素は、吐息として空気中に排出するためには肺まで運ばれる必要があります。

この二酸化炭素を運ぶ働きをしているのが血しょうです。二酸化炭素は液体である血しょうに溶け込み、肺まで運ばれると肺胞の中に放出され、その後気管を通って吐息として出ていきます。

肺胞や、肺が空気を取り込む仕組みはこちらの記事で解説しています!↓

血液を通す血管の役割

それでは、次に血液を肺から全身の細胞へ、そして全身から肺へと循環させるのに必要な血管について見ていきましょう。

血管はその名の通り、血液を通す管、血液の通り道です。この血管には、大きく分けて次の3種類があります。

3種類の血管
  • 動脈:心臓から出ていく血液が通る
  • 静脈:心臓へ向かう血液が通る
  • 毛細血管:動脈と静脈をつなぐ

血液を全身に送り出すポンプの働きをする心臓を基準に、血管の種類が分かれているんですね。さらに、動脈と静脈は、ただ心臓に対する位置が違うだけでなく、その構造にも様々な違いが見られます。

動脈と静脈の構造の違い
  • 動脈
    • 分厚い
    • 筋肉が多い
    • 弾力がある
  • 静脈
    • 動脈と比べて薄い
    • ところどころに弁がある

動脈には、心臓を出たばかりの流れの激しい血液が通ります。その流れに耐えるため、分厚い丈夫な構造になっています。

逆に静脈を通る血液は、全身を回った後のため勢いが弱く、動脈ほど丈夫な必要はありません。その代わり、勢いが弱い分、本来の方向から逆流しやすくなっています。

この逆流を防ぐためのつくりがです。弁には、心臓に向かう方向の血液を通しやすく、逆向きの血液を通しにくくする働きがあります。

毛細血管の構造

それでは、動脈と静脈を繋ぐ毛細血管はどのようなものなのでしょうか。

毛細血管は、動脈で体の各部に運ばれた血液を、さらに細かいところまで運ぶ役割を果たします。

直径は0.01mmとかなりの細さで、その中は赤血球が一列に並ばなければ通れないほど!ちなみに、普通の静脈は約5mm、動脈は約4mmくらいです。

また血管の壁も、静脈と比べても非常にうすく、血液中の血しょうはこの壁をすり抜けることができます。こう聞くと、「血が漏れてるの!?」と驚いた方もいるのではないでしょうか。実は、血しょうが毛細血管をすり抜けるのも、重要な働きなんです。

毛細血管から染み出した血しょう:組織液

毛細血管から染み出した血しょうのことを、組織液と言います。

実は、毛細血管でも全身の細胞一つ一つの隣を通ることができるわけではありません。そこで、毛細血管も届かない細胞に、血液が運んできた酸素を届ける役割を果たしているのが組織液です。

組織液が細胞に酸素を届ける仕組み
  1. 酸素をもった赤血球が、毛細血管で細胞の近くまで運ばれる。
  2. 細胞の近くでは酸素が少なくなるので、赤血球は酸素を手放す。
  3. 赤血球が手放した酸素が血しょうの中に溶け込む。
  4. 血しょうが毛細血管から染み出して組織液となり、細胞を浸す。
  5. 組織液の中に溶けている酸素が細胞に届けられる。

また、組織液は細胞が排出した二酸化炭素も溶かします。そして、再び毛細血管の中に取り込まれて血しょうとなり、今度は静脈に入って二酸化炭素を肺へ運ぶのです。

リンパ液のはたらき

最後に、リンパ液について解説します。

みなさんは、リンパという言葉を聞いたことはありますか?もしかすると、「リンパマッサージ」などのイメージを持っている方も多いかもしれません。

リンパマッサージの「老廃物の排出」というイメージの通り、リンパ液は血液とともに不溶な物質の排出をはじめとする様々な重要な役割を果たしている体液の一種です。

しかし、リンパ液とは一体何なのか、改めて考えてみるとよく分からないという人も多いのではないでしょうか。実は、リンパ液には血液と深い関わりがあります。

リンパ液はもともと組織液だった

リンパ液の正体は、実は組織液です。組織液は二酸化炭素だけでなく、細胞が排出した他の様々な不要物を溶かします。

このうち血液で運べない不要物が、組織液に溶けたまま、リンパ管の中に回収されてリンパ液となるのです。

リンパ液の流れ

リンパ液を運ぶリンパ管は、全身に張り巡らされています。ただし、血管とは違って心臓のような1つの中心部を持ち、入り口や出口がない循環した構造ではありません。

リンパ管は手足のような末端から始まり、組織液とそれに溶けた不要物などを回収しながら、体の中心部に向かって一方向に流れます。その間、リンパ管同士は次第に集まって太い管になり、最終的に首の下で静脈と合流します。

リンパ液の役割

ここまで見てきた通り、リンパ液には、全身の隅々から組織液と不要物を回収し、体の中心部に運ぶ役割があります。

また、リンパ液のもう一つの重要な役割として、「免疫」があります。リンパ液には白血球の一種であるリンパ球が含まれていて、病原体などを排除して体を守っているのです。

リンパ液の役割
  • 全身から組織液と不要物を回収して運搬する。
  • リンパ球を含み、病原体などの異物を排除する。

まとめ

  • 血液には、液体成分の血しょうと固体成分の赤血球白血球血小板が含まれる。
  • 赤血球は、ヘモグロビンという赤色の成分をもつ。
  • ヘモグロビンは酸素の多いところでは酸素と結合し、少ないところでは酸素を手放すことで、肺から全身の細胞へ酸素を運ぶ。
  • 血管には動脈静脈毛細血管の3種類がある。
  • 動脈は分厚く、静脈にはがある。
  • 毛細血管の壁は非常に薄く、酸素を溶かした血しょうが染み出して組織液となる。
  • 組織液は細胞が排出した二酸化炭素や他の不要物を溶かし、静脈やリンパ管に入る。
  • リンパ管に入った組織液をリンパ液という。
  • 白血球やリンパ球は体の中に侵入した細菌などを排除する免疫作用をもつ。
  • 血小板は、傷ついた血管を塞ぎ、出血を止める。

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