【消化のしくみ】食べ物から栄養やエネルギーを獲得する仕組みを簡単解説!

中学

私たちは生きるためのエネルギーや、体をつくる物質を食べ物から取り入れています。しかし、それを体の中に取り入れるためには、体が吸収できるように、一度細かく分解する必要があります。

今回は、食べ物(理科では食物)に含まれる物質を吸収するために分解するはたらきについて中学生レベルで簡単に解説していきます!

消化とは

冒頭でも説明した通り、私たちは食物の中から必要な物質を体の中に取り入れています。

しかしそのためにはまず、体が吸収できる大きさまで食物を分解する必要があります。このはたらきを消化といいます。

それでは、どれくらいの大きさまで分解するのかと言うと、それは目に見えないほど小さく(分子レベルに)なるまでです。食物に含まれる物質は、最終的に細胞で利用されます。

例えば、細胞の呼吸に利用され、エネルギーのもととなるグルコースも、食物から取り出され、細胞まで運ばれてきたものです。

細胞の呼吸については、こちらの記事で解説しています!↓

私たちの体の中には、消化を行うための様々な部分があります。これを消化器官と言います。

消化器官の種類とはたらき

それでは、消化器官にはどのようなものがあるのでしょうか。主な消化器官は、次のとおりです。

  1. 食道
  2. 小腸
  3. 大腸
  4. 肛門

これらの消化器官は、すべてこの順番で、口から肛門まで一本の管のようになって繋がっています。この、消化器官が繋がった管を、まとめて消化管と言います。

それぞれの消化器官は、別々の方法で食物を分解しています。例えば、口では歯を使って噛むことで、食物を物理的に細かくしますよね。実は口だけでなく、食物を飲み込んだ後も、消化管の運動によって食物はさらに細かくなります。

また、消化管はさまざまな部位と繋がっていて、そこから消化液という液体が分泌されます。消化液は細かくなった物質を、さらに細胞が吸収したり利用したりできる大きさまで細かくするのです。この消化液は、食物の中のある決まった種類の栄養素に対して働きます。

では、食物の中に含まれる栄養素にはどのような種類があるのでしょうか。ここからは、食物の中に含まれる栄養素と、それに対する消化液の種類を見ていきましょう。

食物中に含まれる栄養

食物の中に含まれる栄養素には、おもに次の3つの働きや役割があります。

食物に含まれる栄養素の役割
  1. 生きていくために必要なエネルギーになる
  2. 体をつくるもとになる
  3. 体のはたらきを助け、調子を整える

それぞれ、どのような栄養素があるのか詳しく見ていきましょう。

①生きていくために必要なエネルギーになる栄養素

まず、①のエネルギーになる物質は、炭水化物脂肪です。

炭水化物は、ごはんやパンなどの穀物、いも、砂糖などに多く含まれます。おもに「糖質」と呼ばれる物質のことで、甘い味がするものが多くあります。細胞の呼吸に使われるグルコースも、炭水化物の一種です。

脂肪は、名前からイメージしやすいと思いますが、肉に含まれる脂肪部分や、バター、サラダ油などの油に含まれます。

②体をつくるもとになる栄養素

次に、②のような体をつくるもとになる物質は、タンパク質です。筋トレをした後は、しっかり筋肉をつけるためにプロテインを飲むと良いと言いますが、プロテインは英語でタンパク質を意味する言葉です。

筋肉を始めとする体の様々な部分は、タンパク質が主成分になってできています。人間以外の動物も主にタンパク質から体ができているので、肉や魚、卵、牛乳などにはタンパク質が多く含まれます。また、植物でも大豆や小麦などにはタンパク質が豊富です。

タンパク質は炭水化物や脂肪などのエネルギーのもとになる栄養素が不足している場合などに、さらに分解されてエネルギーとして使われることもあります

③体のはたらきを助け、調子を整える栄養素

体のはたらきを助け、調子を整える栄養素には、ビタミン、塩、カルシウム、鉄など様々な種類の物質があります。これらは食物の中に炭水化物、脂肪、タンパク質ほど多くは含まれないものの、体の正常な機能にとって不可欠なはたらきをしています。

例えば、ビタミンの一種であるビタミンCが長い間不足すると、肌や血管がもろくなり、簡単に出血する壊血病という病気になってしまうのです。

また、カルシウムや鉄などの無機物は体をつくるもととしても働いています。例えば、カルシウムは骨の主成分、鉄は赤血球に含まれるヘモグロビンのもとになっています。

赤血球、ヘモグロビンについてはこちらの記事をご覧ください!↓

消化酵素の種類とはたらき

最後に、消化液の種類について見ていきましょう。上でも説明した通り、消化液は食物を細胞が利用できる大きさまで細かく分解するはたらきをもつ液体で、分泌される場所や標的とする栄養素によって様々な種類があります。

また消化液に含まれる、食物を分解するために直接はたらく物質のことを消化酵素と言います。消化液に含まれる消化酵素の種類によって、標的とする栄養素が異なるのです。

それでは、消化液と消化酵素について詳しく解説していきます。

炭水化物を分解する消化酵素

基本的に炭水化物は食物の中で、お互いに繋がって大きな塊になっています。例えば、お米やじゃがいもに含まれるデンプンは、グルコース(ブドウ糖とも言う)が多数つながってできたものです。

このままでは、細胞の中に取り込むことができないので、グルコース単体まで分解する必要があります。このはたらきをするのがアミラーゼという消化酵素です。

アミラーゼは、口の中の唾液腺から出てくる唾液に含まれています。他にも、膵臓から分泌される膵液にもアミラーゼが含まれていて、さらに小腸の壁にある腸液には炭水化物を分解する別の消化酵素が含まれます。

最初は大きな塊だった炭水化物は、消化管の色々な場所で分解され、最終的にグルコースなどの最小単位になります。

タンパク質を分解する消化酵素

タンパク質も炭水化物と同じように、食物の中では小さな物質が多数つながった塊になっています。タンパク質の場合、この最小単位はアミノ酸という物質です。

タンパク質はまず、胃で分泌される胃液に含まれている、ペプシンという消化酵素によって分解されます。さらに小腸では、膵液と小腸の壁にタンパク質を分解するはたらきをもつ消化酵素が含まれていて、最終的にアミノ酸単体まで分解します。

脂肪を分解する消化酵素

脂肪は、炭水化物やタンパク質のように小さな単位が長く繋がっているものではありません。とは言えそのままの形では吸収できないので、もう少し小さく分解する必要があります。

ここで困るのは脂肪が水に溶けにくいことです。消化液には、消化酵素と食物に含まれる物質を溶かすことで、お互いに混ざりあいやすくする効果もあります。

しかし、水に油を注いだときのことをイメージするとわかりやすいと思いますが、水に溶けにくい脂肪は消化液にも溶けず、脂肪同士で集まってしまいます。この状態では、消化酵素が脂肪と反応しにくく、分解反応が進みません。

そこで、まず脂肪を水に溶けやすい状態にする胆汁という消化酵素が働きます。胆汁は肝臓で作られ、一度胆嚢という器官に蓄えられた後、胃から小腸の間で分泌されます。

その後小腸で膵液と混ざり合い、その中に含まれるリパーゼという消化酵素が、脂肪を脂肪酸モノグリセリドという物質に分解します。

まとめ

  • 食物を体が吸収できる大きさまで分解する作用を消化という。
  • 消化のためのに働く場所を消化器官といい、消化器官が口、食道、胃、小腸、大腸、肛門と繋がる一本の管を消化管という。
  • 食物の中に含まれる栄養素には次の種類がある
    • 生きていくために必要なエネルギーになる:炭水化物、脂肪
    • 体をつくるもとになる栄養素:タンパク質
    • 体のはたらきを助け、調子を整える栄養素:ビタミン、塩、鉄、カルシウム
  • 消化管で分泌される消化を助ける液体を消化液といい、消化液に含まれ食物中の物質を分解するはたらきをもつ物質を消化酵素という。
  • 消化管の運動と消化酵素によって、炭水化物はグルコース(ブドウ糖)、タンパク質はアミノ酸、脂肪は脂肪酸とモノグリセリドにそれぞれ分解される。
  • 消化液、消化酵素のまとめ

消化液

唾液

胃液

胆汁

膵液

腸液
分泌される場所口の中の唾腺肝臓でつくられ、胆嚢で貯蔵され、胃と小腸の間で分泌される膵臓小腸の壁

含まれる消化酵素
(標的物質)

アミラーゼ(炭水化物(デンプン))

ペプシン(タンパク質)

なし、(消化酵素はないが、脂肪を水に溶けやすくする)

・アミラーゼ(炭水化物(デンプン))
・タンパク質を分解する消化酵素
・リパーゼ(脂肪)

・炭水化物を分解する消化酵素
・タンパク質を分解する消化酵素

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