私たち人間を含む動物は、周囲の状況を五感などを通して感じ取り、それを元に判断し、体を動かすことで、その状況に応じた行動を取ることができます。
この記事では、五感などを感じ取るための感覚器官、感覚器官からの情報をもとに判断する脳、体を動かすための運動器官、そしてそれらを繋いで情報を伝達する神経について、中学生レベルで簡単に解説していきます!
神経とは
私たち人間を含む動物の体には、その隅々まで神経が張り巡らされています。
この神経は、目や耳などの感覚器官から入ってきた情報を脳などに伝えたり、脳からの体を動かせ!という命令を手や足などの運動器官に伝える役割を果たしています。また、感覚器官からの情報を処理し、運動器官に命令を送る脳などもまた、神経の集まりでできています。
もしも怪我や病気でどこかの神経が切れたり傷ついたりしてしまうと、目が見えなくなるなど、特定の感覚がなくなってしまったり、足が動かなくなるなど、体の一部を動かせなくなってしまうかもしれません。神経は運動器官や感覚器官などの正常な機能に非常に重要な役割を果たしているのです。
全身の神経系
全身に張り巡らされた神経のネットワークのことを、神経系と言います。神経系には、中枢神経と末梢神経という二つの部分があります。
せきずいとは脳から背骨の中を通る太い神経の束のことです。脳やせきずいなどの中枢神経から、末梢神経が体の隅々まで枝分かれし、感覚器官や運動器官につながっています。
ヒトの脳のつくり
ヒトの脳には、次のような部分があり、それぞれ以下のようなはたらきをしています。
特に複雑なはたらきに関わる大脳は、知能の高い動物ほど発達しています。
ヒトの脳も、大脳が発達していることが大きな特徴になっています。これによって、言葉を話したり、芸術や学問を理解したり、未来のことや現実にはないことを想像したり、といった人間らしいはたらきができるのです。
運動神経と感覚神経
末梢神経の中には、運動神経と感覚神経などがあります。
ここからは、感覚神経や運動神経が繋がる、感覚器官や運動器官のしくみを見ていきましょう。
運動のしくみ
動物の運動は、中枢神経からの命令が手足などの運動器官に伝わることで起こります。それぞれの運動器官は骨格と筋肉からできています。
骨格のつくり
骨格とは、全身のそれぞれの骨がお互いに結合して組み立てられたもの全体のことです。この骨格が体の中心を通っていることで、体を支えることができます。
植物で言う茎のような役割をしているのが動物の骨格というわけです。
植物の茎についてはこちらの記事で解説しています!↓
また、骨は筋肉を繋げることで、運動にも重要な役割を果たしています。
筋肉のつくり
運動器官の中で、脳からの指令に応答して直接動くのが筋肉です。筋肉は両端にあるけんという丈夫なつくりで周りの骨につながっています。この筋肉が脳からの指令で収縮し、骨が引っ張られることで、骨と骨の間にある関節で骨格が曲がります。
例えば、ひじを動かす筋肉は、肩から肘まで(上腕)の骨からひじの関節を超えたひじから手首まで(前腕)の骨に繋がり、次のようにはたらきます。
手や足以外にも、呼吸で働く横隔膜も筋肉です。また、運動器官の筋肉とは違って、心筋や、消化器官を動かす筋肉は自分の意思で動かすことはできません。
復習はこちらから!↓
感覚のしくみ
まわりの様々な状態を刺激として受け取り、その情報を脳に伝える部分を感覚器官と言います。ヒトには五感を受け取るための5つの感覚器官があります。
感覚 | 受け取る刺激 | 感覚器官 |
視覚 | 光 | 目 |
聴覚 | 音(空気などの振動) | 耳 |
嗅覚 | におい(空気中の化学物質) | 鼻 |
味覚 | 味(水中の化学物質) | 舌 |
触覚 | 圧力などの機械的刺激、温度、痛み | 皮膚 |
ここからは、特に目と耳のつくりについて詳しく見ていきましょう。
目の器官
目の器官をさらに詳しく見ていくと、次のような部分があります。
まず、目の表面側にある虹彩とレンズが、周囲の状況や見たいものに応じて、目に入ってくる光や網膜上での像のでき方を調節します。そして、網膜の上にある細胞が光の刺激を受け取ることで、できた像の情報が得られます。
この網膜の上の細胞が、感覚神経に情報を受け渡すことで、目から入った光の情報が脳まで伝わって、周囲のものが見えるのです。
目以外の耳、鼻、舌、皮膚にも、それぞれの刺激を受け取るための専用の細胞(感覚細胞)があり、感覚神経とつながっています。
耳の器官
耳の器官には、次のような部分があります。
鼓膜と耳小骨を介して伝わった音は、最終的にうずまき管に伝わります。うずまき管には、感覚神経がつながっていて、ここから音の情報が脳まで送られます。
せきずいの機能:反射について
最後に、せきずいの非常に重要な機能について解説していきます。
やかんなどの熱いものを触った時に、一瞬で手を離した、という経験は誰にでもあると思います。こういう時、自分で「熱いから手を離そう」と思って離すのではなく、「思わず」手を離しますよね。
このような無意識に起こる反応を反射といいます。反射では、文字通り「考えるより先に」体が動きます。実は、反射の時には脳の判断を介さずに運動器官が動いているのです。
反射における情報伝達
普通の反応では、感覚器官からの情報が感覚神経、せきずいを通って脳に伝わり、脳がそれをもとに判断して運動神経に信号を送り、それが運動神経から再びせきずいを通って運動器官へ伝わって動きます。
しかし、反射では感覚神経からせきずいに情報が送られると、それが脳に送られると同時に運動神経にも送られ、特定の運動を引き起こします。
反射によって瞬間的・無意識の反応ができる
反射では、感覚器官が反応してから指令が運動器官に届くまでの経路が短くなっています。これによって、反射は普通の反応と比べて、早い反応が可能です。
熱いやかんをいつまでも触っているとやけどしてしまいますよね。なるべく早く反応する必要がある刺激に対して、瞬間的に反応するのが反射というわけです。
また、反射は脳を介さないため無意識に起こる反応です。咄嗟の反応以外にも、食べ物を口に入れると唾液が出る、暗いところでひとみが広がる、体のつりあいを保つなど、無意識の反応も反射の一種です。
まとめ
- 神経系には中枢神経と末梢神経がある。
- 中枢神経:脳とせきずい
- 末梢神経:中枢神経から枝分かれし、体の隅々につながる感覚神経、運動神経など
- 末梢神経のうち、感覚神経は感覚器官からの信号を脳やせきずいに伝え、運動神経は脳やせきずいからの信号を運動器官の筋肉に伝える。
- 運動器官では、けんという部分で骨格についている筋肉が、運動神経から伝わった信号に応じて収縮することで骨格が曲がり、運動が起こる。
- ヒトの感覚器官には、目、耳、鼻、舌、皮膚があり、それぞれ決まった種類の刺激を受け取る。
- 刺激に対して無意識に起こる反応を反射という。反射は脳を介さず、せきずいのみを介して起こる。
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