生物の最終目的、それは子孫を残すことです。
身の回りの多くの植物は、その役割を花が担っています。
しかし、植物は子孫を作るために直接必要になる花だけでなく、体を成長させて葉をたくさんつけます。
植物が葉をつけるために養分やエネルギーを費やすのは、もちろん葉も子孫を残すという機能に重要な働きをもつからです。
それでは、葉はどのようにして次世代を作る機能に貢献しているのでしょうか。
この記事では、植物の葉の構造と機能について、中学校レベルで簡単に解説していきます!
花についてはこちらの記事で解説しています!↓
葉は光合成をするためにある
葉の最も重要な役割は光合成をすることです。
光合成には太陽からの光エネルギーが必要です。つまり、光合成をする細胞、その中の葉緑体に日光が十分当たった方が、光合成のためのエネルギーがたっぷり得られます。
体になるべく多くの日光を当てるために、植物は葉を広げているのです。
この日光を浴びるという目的は、葉の形やつき方によく現れています。
まず、葉の形は表面積が大きく、厚さはほぼない、平べったい形をしています。これは、表面積を大きく広げた方がより多くの日光を浴びられるのに対し、厚さを増やしても表面から離れたところには日光があまり届かなくなるからです。
表面積を広げるにも厚さを増やすにも、栄養やエネルギーが必要。日光を浴びるという目的に貢献できる「表面積を広げること」に、限られた資源を使っているのです。
光合成はこちらの記事で詳しく解説しています!↓
植物は葉の表面から空気を取り込んでいる
ここまでで、植物の葉は光合成をするための器官ということを見てきました。
ところで、光合成のためには光エネルギーだけでなく、デンプンの材料となる二酸化炭素と水が必要です。
水は根から吸い込みますが、二酸化炭素はどのように取り込んでいるのでしょうか。
実は、植物は葉の表面に二酸化炭素を吸い込むための器官を持っています。
葉の表面には小さな穴があいている
葉の表面を顕微鏡で観察すると、細長い二つの細胞に囲まれた穴がいくつもあいているのがわかります。
この穴を気孔といいます。
植物はこの穴から光合成に使う二酸化炭素を取り込んでいるのです。
気孔はなぜ口のような形をしている?
気孔は唇のような二つの細胞に囲まれて、口のように見えます。この形をしていることで、気孔は必要に応じて穴を開いたり閉じたりできます。
実は、気孔を開くと葉の中の水分が空気中にどんどん逃げていくのです。この現象を蒸散と言います。
水は光合成の材料の一つであり、何より水がないと細胞は生きていけません。そのため、光が当たらない夜など、光合成を行わず二酸化炭素を取り込む必要がない時は、気孔は閉じています。
また、多くの植物で葉の表側よりも裏側の方に気孔が多いということがわかっています。
葉の表面は光が当たりやすいので、裏側と比べて水の蒸発がさかんです。そのため気孔を開けた時、表側の方がより蒸散で水を失いやすいのです。
失った水分を補う葉脈
植物は光合成に使う二酸化炭素を取り込むため、葉の表面の気孔を開きます。
しかし、これによって葉から水が蒸散してしまうというジレンマがありました。
水は光合成にも細胞が生きるためにも必要なので、蒸散で失った水分を補給しなければいけません。
この役目を果たすのが葉脈です。
葉脈の中には水が通っている
葉脈とは、葉の表面の細いすじのような構造です。
このすじは、根から茎を通ってきた管と繋がっています。
根から吸い上げられた水がこの管の中を通ってきて、葉脈に入り、葉脈から葉の細胞に行き渡るのです。
また、葉脈は水を葉に運ぶだけでなく、水に溶けた養分を葉以外の部分に運び出す役割も果たしています。
光合成によって葉でつくられた養分は、水に溶けて葉脈を通して運ばれていくのです。
葉脈の形
このように、植物にとって重要な役割を果たしている葉脈ですが、実は人間にとっても役に立つ作りです。
葉脈の形の特徴には植物の分類によって大きく二種類あり、植物を見分ける手がかりになっています。
その二種類の葉脈の形を網状脈、平行脈といいます。
まとめ
- 植物の葉の主な機能は、光合成してデンプンをつくること。
- 葉の表面の気孔を開いて空気中から光合成に使う二酸化炭素を取り込んでいる。
- 気孔を開くと、葉の中の水分は蒸散で失われる。
- 葉脈を通して根から吸い込んだ水が運ばれてきたり、水に溶けたデンプンが運び出されたりする。
- 葉脈の形には大きく分けて網状脈と平行脈があり、植物の種類を分けるのに役立つ。
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