細胞とは何か?動物・植物・微生物の細胞の特徴と機能を解説!

中学

生物の見た目やふるまいはとても多様です。

人間、鳥、魚、虫、細菌、植物など、「生きている」ということ以外に共通点はあるかと言われると、とても難しいかもしれません。

しかし、生物の体を顕微鏡で拡大して見てみると、その様子は非常に似ていることがわかります。

すべての生物は、大昔に共通の祖先から進化してきたと考えられています。

体を作る最も基本的な構造や機能は、その頃の名残があるため、驚くほど似ているのです。

この記事では、生物の体をつくる最も基本的な構造、細胞について紹介します。

生物の体は細胞からできている

生物の体を顕微鏡を使って拡大すると、小さな箱のような構造がびっしりと存在するのがわかります。

この小さな箱のような構造のことを、細胞と言います。

細胞は別名、「生物の体の基本単位」と言われていて、動物の体も植物の体も、この細胞が無数に集まってできているのです。

細胞の呼吸

生物の細胞は、体をつくる構成単位になっているだけでなく、生きていくために必要な様々な働きをしています。

その最も基本的な機能の一つが、細胞の呼吸です。

ほとんどの動物は生きていくために酸素を吸って二酸化炭素を出す呼吸をしていますが、この時の酸素は何に使われ、二酸化炭素は何から出てくるのでしょうか。

実は、動物が呼吸によって取り入れた酸素は、細胞に運ばれます

酸素は細胞の中で、生きていくためのエネルギーを出す燃料であるグルコースと反応し、その結果として二酸化炭素が出てくるのです。

電気というエネルギーを作るために、石油を燃やすのと似たようなものです。

細胞は発電所のような役割を果たしているんですね。

単細胞性物と多細胞生物

動物や植物の体を顕微鏡で拡大すると、無数の細胞が集まっているのが見えるという話をしました。

それでは、その体自体が顕微鏡で拡大しなければ見えないような、小さな細菌などはどうでしょうか。

もちろん、細菌の体も細胞でできています。

しかし、細菌は1つの細胞がそのまま1つの個体になっているのです。

このような、1つの細胞から1つの個体ができている生物のことを、単細胞生物といいます。

逆に動物や植物のような、多くの細胞が集まってできている生物を多細胞生物といいます。

それぞれの特徴を見ていきましょう。

単細胞生物

その名の通り、単一の細胞だけで体ができている生物です。

このたった一つの細胞が、栄養を取り込む、不要物を排出する、外界の環境に反応する、子孫を残す、などと言った、生きるための機能のすべてを果たしています。

中には単細胞の状態で進化が進んだものもいて、細胞の周りに鞭毛や繊毛といった運動するための毛を持つなど、複雑な構造をしているものもいます。

例えばゾウリムシ、ミドリムシ、ミカヅキモなどは単細胞生物の一種です。

多細胞生物

すべての生物は共通の祖先から進化してきたと考えられています。

生物が共通の基本単位、細胞からできているというのも、この共通の祖先の体が同じような細胞からできていたた証拠です。

この祖先の体は、とても単純な機能や構造をしていて、現在の動物や植物などに見られる複雑さは、ここから長い時間をかけて進化した結果だと言われています。

多くの細胞から体ができるようになったのも、この進化の一環です。

祖先は単純な単細胞生物でしたが、そのうち複数の単細胞生物が集まって行動をともにするようになりました。

それがさらに進化して、複数の単細胞生物が一個体としてふるまい、互いに助け合うようになったのが、多細胞生物のはじまりと言われています。

一つの細胞が生きるためのすべての機能を果たしている単細胞生物と異なり、多細胞生物はその役割を多数の細胞に分担しています。

これによって、体を大きくしたり、単細胞生物よりも複雑なふるまいができるようになるのです。

それでは、この役割分担はどのように行われているのでしょうか。

細胞の役割分担

多細胞生物には、人間で言うと胃や腸、植物で言うと茎や葉など、それぞれ特定の役割を持つ部分があります

これを器官といいます。

そして、それぞれの器官をさらに詳しく見ていくと、例えば植物の葉は表面の部分と内側の部分で、少し性質の違うところがあることがわかります。

器官には、さらにそれぞれが特定の役割を持つ部分である、組織があるのです。

そして組織は細胞が多数集まってできていますが、それぞれの組織によって、集まっている細胞の性質や機能が大きく異なっています。

この細胞の性質の違いによって、それぞれの組織が決まった機能を果たしていて、その組織がさらに集まって、消化吸収、運動、周囲の様子の認識、などといった特定の機能を果たす器官ができているのです。

細胞の構造

すべての生物の基本単位である細胞。

一個体でも組織によってその構造や性質が異なり、それによって細胞同士が役割分担して様々な複雑なふるまいをしていることを見てきました。

しかし、それぞれの細胞の基本的な構造を見てみると、どんな動物でも、そして動物と植物の間でも、驚くほど似ています

ここでは、動物の細胞と植物の細胞すべてに共通する基本的な構造を見ていきましょう。

動物の細胞

動物の細胞はとても単純に描くと、すべて上の図のような構造をしています。

中でも次のような3つのつくりを共通して持っています。

  1. 細胞膜
  2. 細胞質

それぞれ詳しく見てみましょう。

①細胞膜

どんな細胞も必ず、細胞内と外の世界を隔てる「膜」でできています。

膜はどの動物・植物でもほとんど同じ物質でできていて、共通の性質を持っています。

この膜が細胞膜です。

細胞膜には決まった物質だけを通す性質があります。

この性質のおかげで、細胞内部は外側と違う、生きていくのに適した環境に保たれつつ、必要な物質を細胞内に取り込むことなどができるようになっているのです。

②核

みなさんは、細胞を染色して観察したことはありますか?

中学校などの理科の授業では、酢酸カーミンという赤色の液体を使って細胞を染色する実験がよくあります。

酢酸カーミンを使って染色すると、細胞1つ1つの中心に円形の赤く染まる部分が見えたのではないでしょうか。

この、酢酸カーミンで赤色に染まる円形の部分がです。

核の中には、「生物の設計図」と言われるDNAが、小さく折りたたまれて収納されています。

核は中身のDNAを細胞の他の部分から隔離することで、壊れたりしないように守っていると言われています。

③細胞質

細胞膜で囲まれた細胞の中身のうち、核以外の部分は、どろどろとしたゲル状の液体で満たされています

この細胞内部の核以外の部分を細胞質といいます。

細胞質の液体がドロドロしているのは、水の中に多くのタンパク質などが溶けているからです。

これらの細胞質に含まれる物質は、細胞が生きていくための化学反応に必要なものです。

実際、細胞質では、細胞内の化学反応の多くが行われています。

植物の細胞

植物の細胞は動物の細胞にもある細胞膜、核、細胞質に加えて、次の構造を持っています。

  1. 細胞壁
  2. 葉緑体
  3. 液胞

それぞれの機能を見ていきましょう。

①細胞壁

動物の細胞の図は丸っぽいのに対し、植物の細胞の図は四角っぽくなっています。

実は、細胞膜はとても柔らかいので、細胞膜のみで仕切られている動物の細胞は決まった形を持ちません

それに対し、植物の細胞は細胞膜の外側に硬くて丈夫な細胞壁というつくりをもち、この硬い構造の内側で、細胞はある程度決まった規則正しい形になっています

この細胞壁は、植物の骨格のような役割を果たしています。

人間などの動物は硬い骨が体を支えていますが、植物の場合はその代わりに細胞壁が体を支える役割を果たしているのです。

②葉緑体

植物と動物の大きな違いは、「他の生物を食べるかどうか」です。

食虫植物などの一部の例外を除いて、植物は基本的に何も食べず、自分で生きるための栄養を作り出すことができます。

この、栄養を作る反応が光合成、その反応が起こる場所が葉緑体でした。

葉緑体はその名の通り緑色をしていて、植物の体が緑色をしている原因になっています。

葉緑体があるおかげで、植物は広い範囲を動き回って食べ物を探さなくても生きていけるのです。

光合成についてはこちらの記事で解説しています!↓

③液胞

植物には葉緑体があるおかげで動き回って食べ物を探す必要がない、と書きましたが、植物の細胞内には、他にも動き回らなくても生きていくための構造があります。

それが液胞です。

液胞の中には、細胞質とはまた違った、さまざまな物質が溶けた液体が入っています。

動物はその都度必要な栄養素を摂るために動き回ることができますが、同じ場所から動くことのない植物にはそれができません。

そのため、将来必要になるかもしれない栄養素を液胞に貯蔵しているのです。

さらに、植物は動物とは違い、不要物を自由に排出することもできません。

しかし、不要物の中には、そのままでは毒になるような物質もあります。

植物はそのような物質も一度液胞の中に隔離しています。

必要な貯蔵物質と不要な毒物を同じ場所に蓄えているのは少し面白いですね。

まとめ

  • すべての生物の体は細胞からできている。
  • 細胞の中ではグルコースと酸素を反応させてエネルギーと二酸化炭素と水が発生する反応が起こる。これを細胞の呼吸という。
  • 1つの個体が1つの細胞からできている生物を単細胞生物という。
  • 1つの個体が複数の細胞からできている生物を多細胞生物という。
  • 多細胞生物は消化吸収や運動など、特定の働きをもつ器官からなる。
  • 器官はさらにいくつかの組織からできていて、それぞれの組織は特定の機能をもつ同じ種類の細胞が集まってできている。
  • 動物の細胞は細胞膜、核、細胞質をもつ。
    • 細胞膜は細胞の内側と外側を分ける薄い膜である。
    • はほとんどの細胞で1つずつあり、内部にDNAが含まれている。
    • 細胞質は細胞膜内部の核を取り囲む部分である。
  • 植物の細胞は細胞膜、核、細胞質に加え、細胞壁、葉緑体、液胞をもつ。
    • 細胞壁は細胞膜の外側を取り囲み、植物の身体を支える。
    • 葉緑体は緑色の色素をもち、光合成を行う。
    • 液胞はさまざまな栄養物質の貯蓄と毒物の隔離を行う。

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